めまいとは、自分の体がふらついたり、周りの景色や物体が揺れ動いたり回転するように見えたりすることを言います。
東洋医学ではめまいの原因は主に「水」と考えられています。様々な原因により、水の巡りが悪くなった結果、頭部にめまいを感じるという考え方で、このタイプのめまいを水滞証(すいたいしょう)と言い、利水作用を用いて水の巡りを改善させることを第一とします。
そして、もう一つ、「血」に起因するめまいがあり、これは血の不足(血虚)や血流の停滞(瘀血)が原因となっています。血虚は栄養不足による貧血性のめまいを生じ、瘀血は血の上衝でのぼせを伴う、高血圧などに代表されるめまいを生じます。血に原因がある場合は、補血や活血作用による治療が必要です。
上述したように、めまいにも色々ありますが、タイプ別にまとめてみましたので、ご参考になればと思います。
ぐるぐる回転性のめまい (痰湿タイプ)
めまい、むくみ、頭重、胸が詰まった感じがする、悪心、痰が多い、食欲不振、いつも眠い、体が重だるい、舌の表面に苔がべっとり付着している
体内の水のめぐりが滞り、体内に停滞した病理産物を痰湿と呼びます。体内に痰湿があることによって、身体を正常に働かせるためのエネルギーである気や栄養物質である血が脳にまで届かず、めまいが起こると考えます。めまいの他に、体内の各部位に痰湿が停滞して重だるい症状が現れるのが特徴です。
めまいに頭痛、しびれも伴う(気滞瘀血タイプ)
めまい、頭痛、不眠、健忘、顔色の黒ずみ、舌の色が暗く、表面に斑点がある
血液循環の滞りにより体内に発生した病理産物を瘀血と言います。瘀血が体内の気血の流れをふさぎ、脳を栄養できないためにめまいが生じると考えます。めまいの他に、気血が滞ることによる痛みや各部分の黒ずみなどが見られます。
フラフラめまいと立ちくらみ(気血不足タイプ)
立ちくらみ、動くとひどくなるめまい、倦怠感、息切れ、顔色が青白い、唇や爪に艶がない、食欲不振、動悸、不眠、舌の色が淡いなど
このタイプは、気血そのものが不足しているために、脳を十分に栄養出来ないことで起こるめまいです。めまいの他に、全身的な栄養不足の症状が現れます。
立ちくらみとイライラ、耳鳴り、高血圧、頭痛などがある(肝陽上亢タイプ)
めまい、耳鳴り、片頭痛、頭痛、怒りっぽい、赤ら顔、目の充血、不眠、夢をよく見る、不安、口が苦い、舌が紅い
肝の陽気が風の性質(震えや揺れなどの動きがある)を持って異常な勢いで上に亢進することを肝陽上亢と言います。肝陽が上に亢進するので、頭部や顔面部に諸症状が現れますが、めまいはその中でも代表的な症状の一つです。
以上、めまいの体質タイプ別の症状をご紹介しました。
漢方薬の効果を高めるには普段の生活習慣を整えることも大切です。体内のめぐりが悪い時は、軽い運動をするなど漢方薬以外の養生も必要です。
また、めまいを予防する意味でも、日頃から脂っこい物、冷たい物、辛い物などを控え、また軽い運動や漢方薬を服用するなど体調を整えておくと良いと思います。